失業率からみた景気後退の入り口

長期投資

12月16日に米国11月の失業率が発表されました。結果は予想を上回る失業率の上昇を認めました。

しかし、市場はこの結果に対しては大きく反応しない状況が続いています。

景気後退時に急激な失業率の上昇が起こることは知られており、以前の記事で黒人の失業率はより鋭敏な先行指標となることを学びました。

今回は過去の景気後退直前の失業率と景気後退時期、S&P500がピークを付けた日付をまとめ、考察していきます。


景気後退とは

米国における景気後退(リセッション)の正式な判定は、全米経済研究所(NBER: National Bureau of Economic Research)が行っています。

景気後退の判定は「GDPが2四半期連続でマイナス成長」に加え、雇用・所得・実質小売売上高などの多角的な指標を見て総合的に判断されるため、時間がかかります。

そのため、実際の景気後退開始時発表日には半年~1年のタイムラグがあるといわれています。

以下は直近の景気後退期間と景気後退開始発表日の表となります。

すなわち、景気後退になっているかどうかは全米経済研究所の発表を待っているのでは遅く、投資家自身が判断し、行動しなければなりません。


コロナショック

コロナショック時の景気後退開始は2020年2月で、この時の全失業率は3.5黒人の失業率は6.1でした。これは1月の失業率を表しています。

翌3月発表の2月の失業率は全失業率は4.4黒人の失業率は7.0と急上昇しています。

S&P500は景気後退期の2月20日をピーク35%の下落を認めています。


リーマンショック

リーマンショック時の景気後退開始は2007年12月で、この時の全失業率は5.0黒人の失業率は9.0です。これは2007年11月の失業率を表しています。

翌2008年1月発表の12月の失業率は全失業率は5.0黒人の失業率は9.1と微増しています。

S&P500は気後退期前2007年10月17日をピーク57%の下落を認めています。

ちなみに、株価のピークを付けた2007年10月の失業率は全失業率が4.7黒人の失業率が8.5でした。


ITバブル崩壊

ITバブル崩壊時の景気後退開始は2001年3月で、この時の全失業率は4.3黒人の失業率は8.3です。これは2001年2月の失業率を表しています。

翌2001年4月発表の3月の失業率は全失業率は4.4、黒人の失業率は8.0と全失業率は上昇し黒人の失業率は下がる結果となっています。

S&P500は気後退期前2000年3月22日をピーク50%の下落を認めています。

ちなみに、株価のピークを付けた2000年3月の失業率は全失業率が3.8黒人の失業率が7.0でした。


現在

今回は政府閉鎖により米国雇用統計の発表延期と10月分のデータ欠損が起こっています。1か月分が欠損した異例の状態ですが、全失業率が4.4%→4.6%黒人失業率が7.5→8.3と上昇しています。


まとめ

現在と景気後退開始月の失業率をまとめると、

コロナショックやITバブル崩壊時の失業率よりも現在は高い事が分かります。

株価は、景気後退期間前~期間中にピークを形成し、景気後退期間中には下落するため、現在が景気後退の入り口であると判断するなら、株価の下落に備えた方がよさそうです

UnsplashOlivier Colletが撮影した写真)

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